なぜを問い、考える力を高める授業

2022.06.08

 STEAMでは、大学や社会に出ても使えるスキルを学び、0から1を生み出して自分の道を切り開く練習をしています。社会における人材教育は日進月歩です。そのため、子供たちが、より早い段階で、実践的で効果があるスキルを身に着けられるようにするために、実社会でスキル獲得の手法を提案をして実装している方々に、ご協力をお願いしています。
 今日は、問道社の金田喜人さんと一緒に授業を実施しました。金田さんは、東京大学在学中にビジネスや政策と学生の接点を作る団体を立ち上げられ、多くの人材を輩出したことから起業家育成の第一人者として政府の起業家育成政策の審議会に招聘されたこともある方です。

金田さん2自分がやりたいことを深く考える方法を説明する金田氏

 

ご自身も学生時代に起業し複数の会社の経営をされながら、2500人以上の起業家やビジネスマンの相談相手をされ、「これからの時代は、AIやビッグデータだけでは生み出せない、正解の無い問いに自問自答しながら意味付ける力こそが求められる」との想いから、個人の意味付ける力を育成するIRISという仕組みを開発されています。各生徒が自分の考え方をしっかり持てるようになることは、本校のSTEAMの目標でもあるため、共同授業をお願いしました。

今回の授業では前回までに考えた自分のやりたいことを、紙に書き出し、要素分解して掘り下げていきながら、こんな話を聞きました。
みなさん、頭の使い方を習ったことはありますか?考えなさい、頭をつかいなさいと言われたことはあるかもしれないけれど、頭の使い方を習ったことはないですよね?小さい頃の記憶、皆さんはいつ頃からあるかな?3歳ぐらいの時、皆さんはなんで?なんで?と沢山聞いて育ってきました。大人がうんざりするぐらい、繰り返しなぜ?を質問してきたんです。しかし成長するにつれて聞くのをやめてしまいますね。考える力の基本はこのなぜ?と問う力にあります。経営者やアーティストは常になぜ?を問うことが仕事になります。日本を代表する企業であるトヨタでは7回なぜ?と聞くなぜなぜ分析が会社を強くする秘訣とされています。ブッダは12回なぜと考え仏教の悟りに至ったそうです。

なぜ?を繰り返すことで深く考えることはとても役に立つけれど、なぜ?って自分に繰り返し問うのはとっても大変です。だから、立派な大人でも、アスリートでも、アーティストでも、経営者でも一人ではなかなかできないんです。
とても役に立つけれど、ちょっと大変な「なぜ?」と問う技を身近な道具や仲間と一緒に上手に使いこなせるような授業をしていきます。

自分にとっての意味を繰り返し問いながら、考え、生み出し、育む時間。金田さんは、そんな時間を提供して下さいました。今後はさらにITを活用しチームで一緒に考えていく新しい体験も提供いただく予定です。次回もよろしくお願い致します!

この記事を書いたメンバー
今井 朝子
今井 朝子
(株)日立製作所にて研究開発に従事した後、アメリカの企業にて東京大学とイリノイ大学とのVRの国際研究プロジェクトに参加し、アプリケーション開発に従事。その後ユーザビリティーに関するフリーランサーとして多数企業の新規事業提案等に携わる。現在、総務省情報通信審議会専門委員、OECD SSES National Project Manager、Salzburg Global Seminar Fellow(世界をより良くするために活動しているリーダーのための国際NPO)、Karanga執行役員(社会性と情動の学び、生きる力の学びを広めるために活動している国際アライアンス)群馬県非認知教育専門家委員会委員、SEL Japan 運営メンバーを兼務。

<経歴>
・慶應義塾大学理工学部卒業
・慶應義塾大学大学院理工学研究科物理学専攻 修士課程修了
・イリノイ大学コンピュータサイエンス科 修士課程修了
・東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了