教員向けSELワークショップ
2022.06.24
これからの社会で子供たちが幸せに生きていくためには、国語や数学などの教科の教育だけではなく、社会情緒的学習(SEL: Social Emotional Learning)が必要であることが、世界経済フォーラム(World Economic Forum)や、経済協力開発機構(OECD) などで提言されています。事実、近年では高い対人スキルなど、5教科では教えられていない能力を必要とする仕事が増えており、どのように学習を変えればよいのかが世界中で議論されています。
本校では、世界の変化に対応した教育を実施するために、教育研究家であり、本校の教育アドバイザーであるパトリック・ニュウエル氏に教員向けのSELのワークショップを実施してもらいました。ニュウエル氏は、コクヨやWeWorkのアドバイザーであり、至善館ビジネススクールで教授も務めていらっしゃいます。
ワークショップでは初めに、STEAM教育とSELの重要性について、4名毎のグループに分かれて議論した後、SELについての説明がありました。SELを導入した学校では、生徒の成績が上がり、生徒と先生両方のストレスが減るというデータが示され、本校で実施された社会情緒的能力の計測結果についても報告があり、SEL導入の重要性を職員全体で共有しました。
本校では、SELを導入するための推進委員会を毎月開催しており、精神的安全性が高く、公平で、お互いを尊重し合う学びの場を構築しています。
SELについて:学力テストや到達度テストで計測されている能力は、認知的能力とも呼ばれ、教育の場や今までの労働市場で良い成果を得ることに効果がありました。今、世界で注目されている社会情緒的能力(SES)は、よりよい健康や高い幸福感に関係があり、学校での成績の向上にもつながることが長年の研究で分かってきたため、社会情緒的学習(SEL)の研究が進んでいます。ニュースでは、OECDが実施するPISAという学習到達度調査の結果がよく話題になりますが、そのOECDは現在、PISAでは計測することができない社会情緒的能力を評価する方法を開発しています。
SEL: Social Emotional Learning 社会情緒的学習
SES: Social Emotional Skill 社会情緒的能力
The World Economic Forum, the Organization for Economic Cooperation and Development (OECD), and other organizations have suggested that social emotional learning (SEL) is necessary for children to live happily in the future society, in addition to education in subjects such as Japanese and mathematics.
In fact, in recent years, more and more jobs require abilities that are not taught in the five traditional subjects, such as high level interpersonal skills, and there is a worldwide debate on how to change learning.
To keep up with the changing world, we asked Patrick Newell, an educational researcher and our educational advisor, to conduct a workshop on SEL for our faculty. Mr. Newell is an advisor to Kokuyo and WeWork and a professor at Shizenkan Business School.
The workshop began with a discussion in groups of four on the importance of STEAM education and SEL, followed by an explanation of SEL, data showing that schools that have implemented SEL have higher student achievement and less stress for both students and teachers, and the results of a social-emotional skills assessment conducted at our school. The importance of SEL implementation was shared with the entire staff.
Jiyugaoka Gakuen High School has a SEL promotion committee that meets monthly to implement SEL and to build a learning environment that is emotionally safe, fair, and respectful of each other.
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今井 朝子(株)日立製作所にて研究開発に従事した後、アメリカの企業にて東京大学とイリノイ大学とのVRの国際研究プロジェクトに参加し、アプリケーション開発に従事。その後ユーザビリティーに関するフリーランサーとして多数企業の新規事業提案等に携わる。現在、総務省情報通信審議会専門委員、OECD SSES National Project Manager、Salzburg Global Seminar Fellow(世界をより良くするために活動しているリーダーのための国際NPO)、Karanga執行役員(社会性と情動の学び、生きる力の学びを広めるために活動している国際アライアンス)群馬県非認知教育専門家委員会委員、SEL Japan 運営メンバーを兼務。
<経歴>
・慶應義塾大学理工学部卒業
・慶應義塾大学大学院理工学研究科物理学専攻 修士課程修了
・イリノイ大学コンピュータサイエンス科 修士課程修了
・東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了